サプライズ訪問 晩秋の樺南紀行 10月1日 
 No3


 紅光站で下り列車が到着し、上り列車を待つ間
に機関助手が我々の宿にやって来て、一休みを
始めた。まぁ我々の占有権のある場所ではないの
で、排除も出来ず、僅かに憶えている中国語の単
語をつなげて何とか会話をする。そんな中でふと
ポケットに忍ばしてあった5円玉を出して見せてあ
げると、案の定彼は凄く興味があるようであった。
なぜ彼が興味を示すのかと言うと中国の通貨では
穴の開いた通貨が無く、日本の5円や50円が大
変めずらしがる事を知っていたのである。     
 彼はひとしきり5円玉を見た後、私に返そうとし
たので「プレゼントするよ」と手振りしてみせると彼
は大変喜んで作業着のポケットにその5円玉を入
れた。その後、列車交換が終わり助手が乗務す
る列車は紅光へと向かっていった。        
 そしてこの数時間後、紅光に向かった列車を待
っている遠くからダッシュしているように聞こえるC
2のブラフト音が聞こえてくる。(実はダッシュして
いるではなくC2のシリンダーストロークがあまりに
も短いので、普通に走っていてもダッシュしている
ように聞こえるのだ。)                
 なかなか良い煙を吐いて我々の前を列車が通り
過ぎると列車が急停車!何かあったのかと心配し
ていると、列車はすごすごと後退をはじめ、機関
車が我々の前に来た時、前述の機関助手が片手で5円玉を手に取り、もう片方の手で機関士
の方を指を指している。どうやら助手が機関士に5円玉を見せたら、機関士も「欲しい。」と言
い出したようだ。                                              
 それくらいなら遠慮せずに言ってく
れ、機関士にもあげよう!しかしその
代わりに機関車を500メートルバック
させてもう一度写真が撮りたいと通訳
を介して言うと、機関士も逆にそんな事
はお安い御用と言いたげに5円玉を握
るやいない、バックを始め500メートル
くらい下がった後、煙を上げてこちらに
向かってきた。結果的に我々は5円で
フォトランをやったことになる。日本人
もさることながら西欧人はも金にものを
言わせてフォトランをやらす事が多い
が、我々はなんと5円でもフォトランを
やらしいしまったと一同苦笑いしながら
列車を見送った。
06,10,01 立新―紅光                                   立新構内


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サプライズ訪問 晩秋の樺南紀行 10月2日
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