![]() No3 ![]() に機関助手が我々の宿にやって来て、一休みを 始めた。まぁ我々の占有権のある場所ではないの で、排除も出来ず、僅かに憶えている中国語の単 語をつなげて何とか会話をする。そんな中でふと ポケットに忍ばしてあった5円玉を出して見せてあ げると、案の定彼は凄く興味があるようであった。 なぜ彼が興味を示すのかと言うと中国の通貨では 穴の開いた通貨が無く、日本の5円や50円が大 変めずらしがる事を知っていたのである。 彼はひとしきり5円玉を見た後、私に返そうとし たので「プレゼントするよ」と手振りしてみせると彼 は大変喜んで作業着のポケットにその5円玉を入 れた。その後、列車交換が終わり助手が乗務す る列車は紅光へと向かっていった。 そしてこの数時間後、紅光に向かった列車を待 っている遠くからダッシュしているように聞こえるC 2のブラフト音が聞こえてくる。(実はダッシュして いるではなくC2のシリンダーストロークがあまりに も短いので、普通に走っていてもダッシュしている ように聞こえるのだ。) なかなか良い煙を吐いて我々の前を列車が通り 過ぎると列車が急停車!何かあったのかと心配し ていると、列車はすごすごと後退をはじめ、機関 車が我々の前に来た時、前述の機関助手が片手で5円玉を手に取り、もう片方の手で機関士 の方を指を指している。どうやら助手が機関士に5円玉を見せたら、機関士も「欲しい。」と言 い出したようだ。 ![]() それくらいなら遠慮せずに言ってく れ、機関士にもあげよう!しかしその 代わりに機関車を500メートルバック させてもう一度写真が撮りたいと通訳 を介して言うと、機関士も逆にそんな事 はお安い御用と言いたげに5円玉を握 るやいない、バックを始め500メートル くらい下がった後、煙を上げてこちらに 向かってきた。結果的に我々は5円で フォトランをやったことになる。日本人 もさることながら西欧人はも金にものを 言わせてフォトランをやらす事が多い が、我々はなんと5円でもフォトランを やらしいしまったと一同苦笑いしながら 列車を見送った。
06,10,01 立新―紅光 立新構内
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